セルフチェック
気になる症状があればセルフチェックをしてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群の大きな原因のひとつが肥満であることは良く知られています。しかし、肥満以外にも歯ならびやそれに関係する顎骨(がっこつ―上下の歯がはえている土台となる骨)の変形や歯・アゴの上下的、左右的な位置不正など、歯科的問題も無関係とは言えません。時として、親知らずの生え方が関係することもあります。
下アゴの位置を前後・垂直方向等など立体的に変化させる、または舌を前方に牽引することで、睡眠時無呼吸症候群の原因となる部分(のどの奥など)を呼吸がしやすいようにする。
睡眠呼吸障害、特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群の歯科における治療法として、口腔内装置と呼ばれるマウスピースを装着する方法があります。睡眠時無呼吸症候群の程度により適応がありますが、この口腔内装置を装着すると睡眠時無呼吸症候群やいびきを軽減させることができます。
口腔内装置には色々な形状があり、症状に合わせて選択します。大きく分類すると、上下が完全に固定されたタイプ、上下が分離していて装着時に下アゴに可動性をもたせるタイプがあります。下アゴに可動性をもたせるタイプの方が、歯の周囲組織や顎関節に無理な力がかかりにくい利点はありますが、調整が難しく睡眠時の歯ぎしりや食いしばりにより若干破損しやすいという検討事項もあります。
口腔内装置は、わが国では歯科で処方されることがほとんどですが、耳鼻科の先生が対応することもあります。
一般的に口腔内装置はCPAP適応外の比較的軽症の睡眠時無呼吸症候群、あるいは何らかの理由でCPAPが装着できない症例に適用しますが、CPAPと併用する使い方も近年注目されています。
併用の方法として
があります。口腔内装置を使用する治療法は、即効性が期待できます。併用のメリットとして、CPAPの圧力が低めに設定されるなど、CPAP装置の介入動作が軽減されることもあるようです。
症例によっては口腔内装置を装着することにより、睡眠時無呼吸症候群をかえって増悪させる可能性も完全には否定できません。(写真1)従って口腔内装置処方時には、必要に応じて検査が必要となります。
睡眠呼吸障害に対し、歯科では他にアゴの骨やオトガイ舌筋を前方に移動するなどの手術療法や矯正歯科治療があります。これらの治療法は、自然呼吸下での改善が期待できるものです。
特に小児に対する治療法は、耳鼻科的介入のほか矯正歯科的介入が考えられます。症例によっては、矯正歯科治療のみで完治することもしばしば経験します。小児の睡眠呼吸障害は、低身長、夜尿症のほか学業成績や学校内での問題行動との関連性が指摘されており、早期の対応が望まれます。必要に応じて睡眠呼吸障害に理解のある矯正歯科医などに相談されるとよいでしょう。
いずれの治療方法においても、定期的な睡眠検査を行っておいた方が安心です。
※健康保険が一部適用されない(矯正歯科治療等)ものがあります。
※1:呼吸や酸素飽和度などを測定し、睡眠中の呼吸の状態をみる検査です。