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快眠コラム

夢はどうしてみるの?

夢はどうしてみるの?

 夢をみる理由について多くの説(表1)がありますが、実はまだよく分かっていません。分かっていることは、「寝ている間に夢をみるような生理活動(脳活動、自律神経活動)が存在する」ということです。

  1. 表1 夢見仮説
    ●本能行動を放散させるため ※1
    ●日中覚えたことを覚えておくため ※2
    ●日中覚えたことを忘れるため ※3
    ●日中の行動の予行演習 ※4
    ●レム睡眠中の生理活動が夢を作り出す ※5

 一晩の眠りは、ノンレム睡眠(NREM sleep)とレム睡眠(REM sleep)が繰り返しやってきます。そして、鮮明な夢はレム睡眠中にみることが分かっています。レム睡眠中には、名前の語源にもなっている急速眼球運動(Rapid Eye Movement:REM)、 自律神経活動である心拍や呼吸などの変動、起きているときと類似した脳活動、そして体を支える筋肉の力が抜けるなど特有の生理活動が生じます。レム睡眠中に出現するこれらの生理活動が鮮明な夢を作り出していると考えられています。急速眼球 運動については、目の動きが活発なほど夢を見ていることが多く、内容もより鮮明になります。さらに、心拍数が増えることで夢の情動要素が強まることや、視覚・情動・記憶などの夢内容に関わるそれぞれの脳部位が活性化する様子も観察されています。
 レム睡眠中には脳は比較的活発に活動する一方で、目覚まし時計の音や匂いなどの外界の情報の知覚は鈍っています。そのため外からの情報ではなく、すでに頭の中にある情報(記憶情報)を使って脳活動を行っています。夢に小学校時代の友達など過去の記憶が出てくるのはこのためです。また、レム睡眠中には、理性や知性と関連する脳の前頭部の活動が日中よりも低下しています。そのため、夢の内容はどこか奇妙で不合理なことが多くなります。

悪夢が多いわけ

 悪夢には脳の扁桃体の活動が関与しています。扁桃体は私たちの感情活動、特にネガティブな情動要素と関連します。レム睡眠中には、なぜかこの部位が特異的に活性化するため、嫌な夢をみやすくなります。また、最近の研究でレム睡眠中の自律神経活動は扁桃体の活動と関連することが報告されています。高熱のときに悪夢が多いのは、このためだと考えられます。
 ところで、一晩の眠りにはノンレム睡眠とレム睡眠がおよそ3、4回繰り返されています。レム睡眠のたびに夢をみているので、一晩に3、4個も夢をみていることになりますが、夢は覚えるようにできていないため、通常私たちはみた夢を忘れてしまっています。しかし夢をみている最中 (レム睡眠中)に目が覚めた場合に「今、夢をみていた」と報告することができます。しかも嫌な夢は印象的なので、覚えておきやすくなります。実は忘れてしまっているだけで、私たちは毎晩、様々な内容の夢をいくつもみているのです。

夢をみるときとみないときがあるのはなぜ?

 正確には「いつもみているが、覚えていない」ということになります。大学の研究室では、参加者に実験室で寝てもらって、夢聴取実験を行っています。実験者は夜中に参加者の脳波をみて、レム睡眠が来るたびに参加者を起こして夢聴取を行います。こうすると、95%以上の確率で夢報告をしてくださいます。もし、夢を体験したい方がいらっしゃったら、ぜひ研究室に遊びに来てください。

夢の研究について

 夢の科学的な研究が始まって60年程度しか経っておらず、まだわからないことだらけです。客観的な事実をひとつずつ積み上げることで、「寝ている間には夢をみる仕組みが存在してそうだぞ」というところまでわかってきました。今後、夢をみる仕組みが解明されていくことで、なぜそのような仕組みが存在するのか、夢をみる理由や役割についてわかってくるといいなと思っています。また、夢らしい夢はレム睡眠中にみるのですが、ノンレム睡眠中でも夢をみます。レム睡眠中の夢には鮮明な映像 とストーリーや情動性が伴うのに対して、ノンレム睡眠中の夢は「何か考え事をしていたような気がする」といった、思考的な夢が多いです。そして、寝入りばなにも夢をみます。比較的鮮明な映像がみられるのですが、断片的でストーリー性はないのが特徴です。また、金縛りと、明晰夢(夢の中でそれが夢と気づき、夢を意図的にコントロールできるようになる夢)はレム睡眠中に起こります。

※1 Fisher, 1965 ※2 Winosn, 1985 ※3 Crick & Mitchison, 1983 ※4 Jouvet, 1978 ※5 活性化―合成仮説:Hobson and McCarley, 1977:感覚映像―自由連想仮説:Okuma, 1992

小川景 先生

広島大学大学院総合科学研究科
准教授 小川景子 先生

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